太平洋戦争の原因を探る試みは、戦後六十年たった今でも続けられている。その努力は、日本の過去における「間違い探し」に集中していた。本書の発刊により新しい視点が提示された。「閉ざされた言語空間」を破る鍵がここにある。日本の過去に向けられた眼差しを、アメリカの過去に向けることができた時、日本人の精神は、占領統治時代の呪縛から開放されるにちがいない。
本書は「暗黒大陸中国の真実」の続編である。著者のラルフ・タウンゼントは、アメリカの国益という観点から、断固たる日本擁護論を主張していた。彼によれば、日本はアメリカの世界第三位の得意先で、支払いもちゃんとしており、国民も友好的で、満州国建国後の輸出も順調だった。これは当時の商務省の数字などから示された事実で、彼の主張は多くの人に受け入れられていた。だがアメリカの国益に興味を持たない「国際主義者」たちが、執拗に反日を煽り続け、ついにアメリカは、対日戦争を決意するに至るのである。
この謀略はソ連が仕組んだものだった。アメリカはソ連にはめられたのである。日本の和平工作が空しいものとなった背景にはこのような事情があったのである。国際政治とは恐ろしい。
当時の国内情勢を、タウンゼントは日本への手紙の中で次のように訴えている。「現在米国の言論は主としてボルシェヴィズム論者及びその愛好者のニュース根源から発せられ」「今日米国の左翼労働者は極端にロシアに親密だ、日本はボルシェヴィズムの敵対者として知られている、従って日本に有利なニュースを提供する新聞紙は労働争議を惹起す」当時の新聞の切り抜きとその解説を見るだけで、日本の不利は明白であった。
歴史とは総合的に見るべきものである。この方面から今後、新たな研究成果が得られることを期待したい。研究者必読の書である。