本書に収録された21人のうち、日本で広く知られているのはキング牧師とオバマ大統領くらいだろうが、ここに聞く黒人活動家たちの声は今でも生々しく響く。黒人差別は、アメリカの人種問題にとどまらず、女性問題や宗教の問題にも関わる様々な「差別」を考える基本的な視点であるからだ。本書はそのための貴重な文献である。フレデリック・ダグラスの大演説(1852年)だけでも読んでもらいたい。
最初の演説(デイヴィッド・ウォーカー、1829年)の「黒人の大統領、知事、…の実例を見せてくれたことがあるのか」という言葉が、初の黒人大統領となるオバマの最後の演説と見事に呼応している。この間、実に180年の重い時が流れている。