白状すれば私は原書で読んだので、この翻訳書は読んでいない。
ネオコン=新保守主義は、よく語られる割に私も含めて多くの人はキチンとは知らない。そういう人への格好の解説書になる。またネオコンの立場から米外交政策への優れた提言がある。
筆者は自分はネオコンだがイラク戦争には反対だという。今頃戦争反対と言っても後出しジャンケンだ。本書で「自分は反対したのだが無視された」とか「反対しなかったことを後悔している」とか明記して欲しかった。この点が不満な他は、読者に深い理解と発想を提供する優れた本だ。優れた発想の中には次のような考えが含まれ、大変参考になる。
(1)国連のような国家の参加機関ではなく、ISOとかNPO/NGOのような非公式な国際機関が成果を上げている。この分野にもっと注力すべし。
(2)テロは政治問題というよりも本質的には経済国際化の副産物で、西欧の民主国家で孤立化したアラブ移民が原理主義に接して起こしている。
(3)民主国家建設の前に国が確立されなければならないことをイラク政策では忘れている。
(4)外国軍介入で民主国家が出来た例は日独を例外としてほとんどない。
(5)外国から非軍事的Soft Powerで支援された国内勢力が民主国家を建設した成功例は多い。
(6)米国民は国内では権力集中を忌み嫌うくせに国際舞台では「付いて来い」と言う。これは矛盾かつ間違いだ。
これらの考えに基づき、米国が採るべき外交政策の提言に多くの頁を割いている。