著者は読売新聞の記者。環境や資源の問題を専門としている。アメリカに留学して環境史を学んだ経験も。
本書は、アメリカの環境保護運動の歴史について、全体を概観した書物。広く浅くという本だが、時代ごとの特徴が明確に示されており、初学者には重宝されるのではないか。
19世紀のソローやミュアから説き起こされ、国立公園の誕生、市民団体の興隆、公害問題、国際化など、現代までが取り上げられている。人物を中心に見ていくというスタイルだが、時代背景や「アメリカ的」なものの考え方などにも言及があり、総合的に理解できるようになっている。
アメリカの環境保護運動は、政府ではなく市民が中心になっている。これは重要なポイントだ。どうしてそんなことが可能なのか、日本の環境保護運動に足りないものは何か。そのあたりにも踏み込んで説明してくれるのが嬉しい。
ただ、言及が足りない点、分析として物足りない部分が、あちこちにあった。まあ、新書というスタイルだし、概説なので仕方ないか。