インベスティゲイティブ・ジャーナリズム(調査報道)とは、あるテーマに対し、主体的かつ継続的に調査や取材を積みあげていくことによって真相を究明するタイプの報道です。
本書の著者は、この分野を得意とするジャーナリストで、これまでの著作は、アメリカの飢餓、代理母出産の親権争い、赤ちゃん取り換え事件、世間を騒がせた殺人事件などをテーマとしており、いずれも恵まれない人々や社会の負の側面に視点を当てています。
その視点は本書にも引き継がれ、環境汚染の犠牲となった人々の心情や人間性、生き様などを描写するのにかなりの重きを置いています。その多くが直接インタビューしたものであり、迫力をもって迫ってくる本書の読みどころになっています。そして、健康被害者への取材でつかんだ、自閉症、白血病、クラスター疾患、先天異常、乳癌、肺癌、喘息が急増している原因についての衝撃の事実に驚かされます。
原書Poisoned Nation(直訳すれば毒に侵された国家・国民)のNationとは、アメリカのことですが、本書に書かれていることは「対岸の火事」ではありません。アメリカの毒の犠牲者は地球上のどこの町にも村にも都会にもいます。水、空気、食物、日用品を通じて、貧富を問わず、老若男女を問わず、胎児にまでも汚染の連鎖が広まっているのです。第1章の見出しにあるとおり"誰も逃げられない"のです。
日本でも、環境問題しかり、食品安全問題しかり、薬害問題しかり、水や空気、土壌、そして食品や日用品、もはや何からとは言えないほどあらゆるものを介して、ゆっくりと着実に体内に毒が蓄積されていく問題は現実に起こっています。しかも日本は食料輸入大国です。とすれば、毒をも輸入している可能性を完全に否定することはできないのです。
「疑わしきは罰せず」(毒性や病気との因果関係が科学的に立証できないうちは使う)ではなく、こと命や健康に関しては「疑わしきは罰す」(少しでも有害だという疑いがあるうちは使わない)が当然であり、それをしなければ、今の惨状を改善できないのではないでしょうか。
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