著者は夫の転勤を機に小学生の息子との家族3人で2007年からメリーランド州に移り住んだ人物。日々の暮らしの中で気づいた、不思議で愛すべきアメリカについて綴ったエッセイ集です。
『アメリカなう。』というふざけたタイトルで、砕けたトーンの筆致で綴られているとはいえ、書かれていることはいたってまじめで、深い洞察力が感じられます。それもこれも著者が17年間毎日新聞に勤めていた記者だったからでしょう。ジャーナリストとしての観察眼と描写力は、蔽い隠しようもないという印象を受けました。
芝生を重んじる郊外住宅街ではタンポポは最も忌み嫌われる雑草である。それが生えているのを放置することは社会に混乱を与える所業とみなされる。
痛みに弱いアメリカ人は無痛分娩どころか、親不知を抜くのにさえ全身麻酔が施される。
反抗期にあるはずのアメリカの子どもたちが親と仲良しであるように見えるのは、週末に車で送迎してもらうために親との全面対決を避ける傾向があるから。
購入したものをかなり緩い条件で返品できる文化があるので、贈り物にも返品を想定してバーコードだけが書かれたギフトレシートが付けられている。
日本に居ながらにしてもアメリカ文化は映画やテレビドラマを通じてかなりの程度その情報に接する機会があると思っていました。ですが、この本を読むと、まだまだ興味深い未知のしきたりがあるのだなということがよくわかります。思わず感嘆の声を幾度もあげながら頁を繰りました。
各エッセイに付されたフジモトマサルの猫の一コママンガが微苦笑を誘い、これまたなんとも楽しい読書になりました。
著者にはぜひ続編を期待したいと思います。