太平洋戦争末期、日本軍が占領する島嶼への上陸作戦遂行のために、米軍が開発・導入した水陸両用の兵員輸送車輌「アムトラック」の誕生から、現代までの派生型の歴史をまとめた資料集。
薄型のブックレットのため情報量が限定されているが、実戦導入の経緯、実戦で明らかになった弱点の改善をはじめ、上陸戦闘における「アムトラック」の戦歴を知ることができ、たいへん、貴重である。「富める国の軍隊」として、全世界に先駆け、機械化を進めてきた米軍が、日本軍守備隊の激しい抵抗という過酷な洗礼を受け、新兵器アムトラックの改良を重ねていく。その根底には、「自軍兵士の損耗を最小限にすると同時に、敵に対してはより効果的に打撃を与える」といった合理性追求がある。こんな軍隊と激突し、なお、多大な出血を強いた日本軍は、玉砕したとはいえ、よほど精強だったのだろう。
「海兵隊が見出し、海兵隊が育てた」とされるアムトラックだが、実は、フロリダの沼沢地洪水で人命救助に役立てるため、民間人が自費開発した「アリゲーター」という水陸両用車が前身であるという記事も興味深い。