この作品が発表されたのは1970年で、学園紛争など当時の暗い世相を反映したと言われています。
反映とは、すなわち、性のテーマであり、男女の愛をテーマにしたことでしょう。
主人公は、幼児体験によって、男女の愛を嫌悪する凶暴な性格に育ってしまった少年です。が、幸か不幸か、今でも通用する設定です。
主人公は、決して成就することのない愛による罰を受けます。このストーリーと並行して主人公のリアルなストーリーが入れ替わりながら進行します。
映画ではお馴染みのオムニバス形式で、『
トワイライトゾーン/超次元の体験 [DVD]』を連想させられました。
今振り返ればありえないようなことなのですが、この作品は、神奈川県で有害図書指定を受けました。
手塚先生は、今に続く漫画文化を産み育てたような人ですが、時代を切り開くとき先頭に立つ人は常に保守層の攻撃に晒されます。
ビートルズが世に出たとき、世界中の大人達は一斉に攻撃しましたし、学校はヘアースタイルを禁止する等抵抗を試みました。
同じことが、マンガに対しても行われました。マンガを読むと頭が悪くなる、など言われたものです。
この作品を有害図書にした、当時の価値基準を推測しながらお読みになるとまた違った読み方ができると思います。