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アブラクサスの祭 (新潮文庫)
 
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アブラクサスの祭 (新潮文庫) [文庫]

玄侑 宗久
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

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   現役の臨済宗の僧侶である著者が上梓した、3作目の中篇小説。先に記された『中陰の花』(第125回芥川賞受賞)や『水の舳先』と同様、今回の主人公もまた僧侶である。しかし、人々の苦悩を見つめる立場であった前作までとは異なり、本書では、主人公である僧侶自身が心を病み、つかみどころのない「自分」を探そうともがいている。

   東北の禅寺に身をおく僧・浄念は、躁うつ病と分裂病を患っている。ときには「うつ」の、ときには躁(そう)の、あるいは薬が効いて落ち着いた状態の、「さまざまな自分」に混乱する毎日。本当の自分とは何なのか。若いころから傾倒しているロック音楽に自分探しの答えを見いだすべく、ライブコンサートを決行する。即興演奏が盛り上がるなか、しだいに常軌を逸していく浄念。ライブ直前に口走った「アブラクサス」とは何なのか。

   自殺未遂、愛欲への執着、ロック…。そんな過激な過去と精神病を負う、いわゆる「聖者」らしからぬ主人公の姿が新鮮である。ただ、入り乱れる思考描写や抽象的な挿入歌が物語を難解にしている観が否めない。一方、主人公の妻の目線でつづられた後半部分は、平易な言葉が用いられており、読みやすくなっている。そして、妻が精神を病んだ夫に対する尊敬を取り戻していく場面は、全体に「重い」物語の中で、読者に安堵感を与える中和剤となっていると言えよう。(冷水修子) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

東北の小さな町の寺に勤める僧・浄念は、躁鬱に苦しみつつ薬と酒の力を借りて法要をこなす毎日。不惑間近となったいま、学生時代にのめり込んだバンドへの情熱が心を占める。やっと実現にこぎつけたライブのステージで、強烈な恍惚感とともに降りてきた啓示の正体は…。精神を病みロックに没入する僧が、祝祭の只中で感じた歓喜と安らぎ、心のひそやかな成長を描く芥川賞受賞第一作。

登録情報

  • 文庫: 149ページ
  • 出版社: 新潮社 (2005/12)
  • ISBN-10: 4101166528
  • ISBN-13: 978-4101166520
  • 発売日: 2005/12
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
この物語の主人公である僧侶の浄念は「分裂症まじりの躁鬱病」の患者であり、

それが彼のアイデンティティでもあるという人物です。

彼は通いの僧侶で、住職の玄宗に見守られながら修行を積んでいます。

若い頃はロック・ミュージシャンだった浄念は、僧侶としてのお勤めの合間に定期的にライブをやっている。

お寺は東北地方のどこかにあるが次のライブはお寺のある町でやりたい。 浄念は住職にそう申し出て玄宗もそれを承知します。

この物語はライブの当日までの数ヶ月間について、浄念の日常と心の動きを追ったを作品です。

「分裂症まじりの躁鬱病」を身近に経験したことがあるかたには、よりおもしろく読めるでしょう。

実はわたしは身近に経験していたことがあるので、ぞくぞくするほどのリアルな感じがありました。

あるシーンでは本を抱えて爆笑してしまったのですが、玄侑さんは病気の経験者ではないのかとしか思えないできばえです。

並たいていの坊さんではない。 

瀬戸内寂聴尼が<後継者>として指名しただけのことはあると思いました。
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By hiraku トップ1000レビュアー
形式:文庫
今年はロック生誕50周年とのこと。僧侶であり、ロックを愛する精神を病んでいる僧侶の精神開放の物語。そうなんです。古今東西ロックとは精神社会と密接に結びついていたんだ。精神の開放、人間の限界への挑戦、まさしく、Break on Through To The Other Sideだったんです。ところが50年経って現在の状況といったら。。。

本書はまさにロックが本当にロックとして描かれている。精神と宗教とロックのが組み合わされて、心の開放が味わえます。
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 黒口隊長 VINE™ メンバー
形式:文庫
アブラクサス、と言えば、ヘルマン・ヘッセの『デーミアン』を思い浮かべる人も多いであろう。ヘッセの『デーミアン』において、アブラクサスという神は、主人公の精神的な遍歴と成長の上で決定的な役割を果たすのである。自分の内面の深みへと降りて行き、目を背けることなく自分自身の心の底に隠された「精神の秘密」を知ろうとする者は、人間の精神の深淵にある狂気の危険に晒されなくてはならない。芸術あるいは学問といった、人間の知の根源にかかわり、真の意味における創造性をわがものとしなくてはならない者は、日常的で安定した「明るい」現実世界だけではなく、「暗く」底の知れないもう一つの世界をも、自分の住処としなくてはならない。ここで現れるのが「神的なものと悪魔的なものとを結合する」異教の神、歓喜と戦慄、神聖と醜悪、善と悪、天使と悪魔、男と女といった、対立するもの全てを包括した謎めいた秘密の神、アブラクサスである。ヘッセの『デーミアン』ではこのように言われている。
「鳥は、卵から抜け出ようと努力する。その卵は、世界だ。生まれ出ようとするものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は、神のところへ飛んでいく。その神の名は、アブラクサスという」。
こうしたヘッセの『デーミアン』の根本主題を、この作品は、21世紀の日本人である自分たち自身の問題として正面から採り上げる。
ヘッセがマックス・デーミアンとエミール・ジンクレールという二人の人物に託したものを、著者は浄念という、躁鬱の症状に悩み、薬を常用する一人の人物に集約する。浄念は僧侶であり、同時にロックに打ち込むミュージシャンである。著者はこの浄念の内面的な遍歴と葛藤を、ある時は浄念自身の内省の言葉を通じて、またある時は浄念を取り囲む周りの人物たちの視点に映る浄念の姿を通じて浮かび上がらせるのであるが、この視点の移り変わりと、距離の取り方は、絶妙である。この難しいテーマを、これほどリアルに、繊細に描き出す著者の腕前、凄い! と言う他はない。単純な比較はできないが、本作を読むと、ヘッセの名作ですら類型的、観念的すぎるようにすら思えてくるほどである。とりわけ、クライマックスの「アブラクサスの祭」の最高潮の部分は、圧倒的である! 
ともかく、本作、難しいことを考えなくても、はじけた感覚といい、独特の疾走感といい、著者の作品の中でも屈指の傑作! 未読の人は、是非一度おためしあれ!
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神でも悪魔でもある絶対者の啓示
主人公は、分裂症まじりの躁鬱病の僧侶です。
彼は、そうした状況を薬と酒で癒しています。... 続きを読む
投稿日: 20か月前 投稿者: ringmoo
心地良い。
精神を病みながら日々のお勤めをする僧侶という主人公の設定が魅力的。玄侑宗久氏の本は、どれも心静かに淡々と読めるのが心地よい。その静けさの中から、何かヒントをいただ... 続きを読む
投稿日: 2009/7/22 投稿者: ポチR
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観念的内的世界の吐露と、心象風景の具体性に読んでるほうが神経衰弱を引き起こしそうになった。... 続きを読む
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投稿日: 2007/12/24 投稿者: 青春朱夏白秋玄冬
イメージが斬新です。
芥川賞を取ったという「中陰の花」もそうなんですが、この作者は視覚的イメージの使い方がすさまじいです。... 続きを読む
投稿日: 2007/9/15 投稿者: Idio
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