本書で語られているのは、アフリカのケニアにあるナイロビという都市についてである。他国の状況というのは意外と部外者には分からない。経済学者や社会学者は統計データを豊富に提供してくれるが、そこで生活をすることはどういうことなのかという生活者視点はまるで分からない。文化人類学ではより深層にあるものを伝えてくれるが、これまた表層的な世界で生きている一般庶民の主観的感覚からは遠く離れているような気がする。ある場所で生活するとはどういうことか?これは現地で住んでいる人に取っては自明であり、誰でも知っているのだが、どうしてもその場所を離れては伝わらないことが多い。そうした生活者から見たケニアのナイロビでの生活を本書は教えてくれるような気がする。叙述は非常に上手く、読んでいくうちにイメージが自然と沸いてくる。私は、ケニアどころかアフリカにさえ行ったことがないのだが、実際に現地に行ったら懐かしさを感じてしまうのではないかと思った。アフリカ(特にケニアのナイロビ)での生活とはどのようなものかを知りたい人は、現地に行かれることが一番だろうが、是非本書も読まれることをお薦めする。