「アフリカの日々」は、かつてR・レッドフォードとM・ストリープのコンビでアカデミー賞7部門に輝いた名画「愛と哀しみの果て」の原作です。映画は劇的でしたが、原作の世界はむしろ静謐。作者の透徹したまなざしが深い感動を生み出す、好エッセイ(!)です。かのヘミングウェイはカレン=ブリクセン(ディネセン)にこそノーベル文学賞がふさわしいと発言しましたが、読みながら何度かそのことを思い出し、ひそかに同意しました。
この作品はすでにいくつかの訳がありますが、流行の新訳でなく、あえて名文のほまれ高い横山バージョンを採用したこともうれしいかぎりです。アフリカの空気を宿したディネセンの文体はしっかり伝わってきました。
「やし酒飲み」は西洋合理主義に知らず知らず慣らされた我々にはまさに衝撃の世界。もともとこの企画(世界文学全集)を応援したい気持ちがあるのですが、この二作がカップリングの本書は何とも贅沢、特におすすめの一冊です。