本書は3章構成で、第1章は猿人からホモ・サピエンスまで、第2章はホモ・サピエンスの世界への拡散、第3章は日本人のルーツ、を取り上げている。第1章第2章は世界の最新の学説を含めて平易に解説されており、判り易い。知識を更新し頭を整理するのに最適である。
第3章は筆者の専門である形態学(歯、頭、肢体の形など)での筆者の研究の説明が大きな割合を占める。しかしその研究から新たに判明することは限定的だった。飛躍せず科学的な正確さを守った点は評価されるものの、いわゆる定説とあまり変わらぬことは素人の読者には淋しい。近年のDNA研究の成果を加味すればもっと説得力のある記述になったのではないかとは素人考えであろうか。