アフリカを旅行すると冒険というイメージがある。
北アフリカはともかく、サハラ以南は確かに冒険である。
まともな宿がない、まともな交通手段がない、まともな食事がない・・・
それ以上に治安や病気といった問題もある。
普通の旅行者はあまり立ち寄らないエリアである。
前後編にわたるうち、前編ではスーダン、エチオピア、エリトリア、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、ザイールを舞台にしている。
著者は現地人の目線で旅行をし、現地の風にふれることこそを旅行の醍醐味としている。ちょっと聞くだけでは先進国の人間の傲慢さの表れにも感じるが、著者ほど徹底的に実践するのは至難の業である。それをこともなげに自然に(そう感じるように筆を進めているのではあろうが)行うのは相当の精神力が必要なはずである。感服する。
アフリカの旅行記は意外と著されており、その過酷さも知られているので、ただの旅行記では二番煎じ、三番煎じである。本書の特徴は「山登り」にある。登山家でもある著者はとにかく山に登るのである。「そこに山があるから」という感じである。アフリカを旅することもおそらくおなじように「そこにアフリカがあるから」という(著者からすれば)自然体なのだろう。
著者が登った山はキリマンジャロやケニア山のような有名なものから聞いたことのないようなものまで様々である。アフリカで登山旅行というのもいまひとつイメージできていなかったのでかえって新鮮であった。
文章もわかりやすく、著者が肩に力を入れすぎずアフリカを楽しんでいるのがよくわかる。個人的にはアフリカに過度に肩入れせず、過度に糾弾しない姿勢も気に入っている。紛争や飢餓だけでない人間の目線のアフリカというものを知りたい人には良い書であろう。