覚せい剤中毒者を取材するために自らも使用した作者が次第にその深みにはまっていくさまをつづった前作「speed」は確かに名作ですが、いささか精神的にダウンしているときにはきつかったです。しかし、本作はその後、やはりというかあ~そ~か、という感じで逮捕され、服役し、判決を受けるまでのノンフィクション。失礼ながら楽しくサクサク読めました。あいかわらずポップな文章でキレまくっている作者ですが、今回も魅力的なキャラがてんこ盛りです。オカマの詐欺師、日本刀でアヒルを切りまくった薬の密売人、浮気がばれて奥さんに刺された傷を見せてくれるおちゃめな殺人者など、こんな人たちと話ができるのも獄中ならではか、と感心したりして。それと秀逸なのは刑務所の食事の描写。さまざ??な自由を奪われると人間は、食事が一番の楽しみになるんだ、ということがわかります。ゴンゾ(イタリア語でゴロつき)ジャーナリストの作者が今度はどんなタブーに自らを浸して執筆するのか楽しみです。