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34 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
なぜなんだろう・・・。,
By masaoasis (埼玉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: アフターダーク (講談社文庫) (文庫)
面白いか面白くないかでいえばそれなりに面白い。けれど、すごく面白くはない。ところどころに、さすがだなと思う箇所はあるが、全体的にはまあまあ。会話のニュアンスとか、小手先の技術だけでごまかしている印象さえ受ける。もし読後感想文を書けと言われても頭を抱えてしまうだろう。なぜなら、印象に残っている場面がほとんどないから。 かつての、『ダンス・ダンス・ダンス』、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』、『ノルウェイの森』等を読んだときの感動を求めて、あいかわらず村上春樹作品を買い続けているが、最近は失望感が大きい。『モーニング・グローリー』の輝きを求めて、オアシスの最新アルバムを買っては、がっかりしているのとまったく同じ状況。 はたしてあの感動を再び味わうことはできるのだろうか? 今後も一縷の望みを抱き、読み続けてはいくけれど・・・。
71 人中、55人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
合理性を追求した現代社会の欠陥に対して考えさせられる作品,
By ふた (東京都中央区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: アフターダーク (講談社文庫) (文庫)
村上春樹氏の現代社会に対する疑念・思想をふんだんに盛り込んだ秀作。読み込めば、我々がどうやってこの社会に対処していくべきかの氏の意見も見えてくるだろう。法律・IT経済・TVメディアなどの合理性を追求したが故の根本的な欠陥が、暗闇となって陽のあたる時間帯すら凌駕しようとしている。 幼い少女をも広告塔として飲み込むメディア業界によって、四六時中、心に闇を持つようになってしまったエリは、闇を前にもはや眠ることしかできない。 異常なコンピュータ業界の労働によって自我を失いつつある白川は、彼自身が闇社会に対して一線を超えてしまったことすら認識できていない。 かつてはコオロギの例のように、借金逃亡などの明確であった闇社会が、バイクの男が通り過ぎるようにすぐ傍まで来ていることに、我々は気が付かなくてはならない。 闇に対処できるのは、アルファヴィルで行われる単なる交わりではなく、エリ・マリが暗闇のエレベーターで抱擁したような、心の通った行為だけなのではないか。 現代社会の問題に対して、我々が現実的できることは非常に少ないが、構造の原理を見渡し心持ちを正すことはできると思う。自分もこれを機会に山の頂まで登るかどうかを改めて考えてみたい。 本作品はストーリの結論を求めないことで、敢えて「売れる要素」を排除しているように感じます。一般受けしないことは、氏や編集の人もわかっての事でしょう。 本に結論(ストーリー性)・娯楽のみを求める人にはオススメしませんが、元々、現代社会の構造に多少の疑問を感じるような方で、これを機会に見つめなおしたいという方には間違いなくオススメです。
12 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
思いのほか難解ではなかった村上作品,
By
レビュー対象商品: アフターダーク (講談社文庫) (文庫)
時刻は間もなく深夜零時。デニーズでひとり本を読む若い女性マリに、高橋と名乗る青年が声をかけてくる。彼はマリの姉エリの友人でマリにもかつて会ったことがあるという。この二人の出会いが、さらに何人かの人間を巻き込む深夜のドラマを生んでいく…。 久しぶりに村上春樹の、しかも決して新しくはない小説を手にしたのは、スペイン人の友人がスペイン語訳のこの本を読み始めたからです。今、海外で最も広く知られる現代日本人作家である村上春樹。いくつか彼の作品に目を通しておくのは、今後外国の友人や取引先との会話の糸口をみつける助けになるかもしれない、そんな実利的な目的で読み始めました。 想像していたよりも読みやすい作品でした。 私が思うにこの物語が描かんとするのは、人間の孤独、他人との埋めがたい距離感でしょう。その痛ましいほどの寂寥感は、都会の夜を舞台にして、見事に描かれていると思います。 そんな寂しさの中でも人間はささやかな思い出を紡いで、記憶のかけらを自分の中に積み上げていく。人生におけるそのことの大切さがコオロギという名の登場人物が口にする次の言葉からも伺えます。 「人間ゆうのは、記憶を燃料にして生きていくものなんやないかな。(中略)もしそういう燃料が私になかったとしたら、もし記憶の引き出しみたいなものが自分の中になかったとしたら、私はとうの昔にぽきんと二つに折れてたと思う。」(250〜251頁) この小説は会話の分量が多いのが特徴です。現代の日本の若者にしてはエリや高橋がことのほか冗舌で論理だった物言いをするところが現実離れしている気がしないでもありません。ヨーロッパかアメリカの、明快な発言を常に求められる文化圏の若者たちのような人物たちには、それこそ距離を感じてしまうのですが、そこが村上春樹の作品を翻訳可能性の高い、海外の読者によって受容されやすいものとしているのかもしれません。
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