アフガニスタンをめぐる様々な登場人物を描きながら、いかにして今のような国家となってしまったのか、映画のシーンのように迫真的な描写で、その真相をあぶりだしてくれる大作。
淡々と取材された事実だけが克明に表現されていることがかえって、読者に考える材料を提供してくれる。
前半では、タリバンやビンラーディン、パキスタンなど多角的な視点で描いているために、公平でかつ客観的に読むことができる。
そして、ソ連やアメリカそしてかつての西欧列強が、タリバンに象徴されるイスラム原理主義を生み出したのだと痛感する。
後半になると、パキスタンの支援を受けながら過激にイスラム原理主義を進めていくタリバン、一貫して反タリバンを掲げてCIAへの支援を訴え続けたマスード率いる北部同盟。パシュトゥン人代表としてマスードとの連携を強めるカルザイ。
そして、堂々と豊富な資金を使いながらアメリカを標的にテロ準備を進めていくビンラーディンと、その拠点を把握しながら無人攻撃機による殺害計画を早くから立案しながらそれを実行できずに逡巡するCIAとクリントンのアメリカ。
政権交代時にはアフガンのことをまったく認識していなかったブッシュとライス。
着々とテロ作戦を準備していく実行犯。
など克明に描かれる。
そして、9月9日にマスードがタリバンによる自爆テロで殺され、それを聞いたカルザイは言う。
「不幸な国だ。」
ここで、本書は終わり、その後の展開は周知の事実である。
多くを読者に考えさせる書物である。