著者の講演を聴いた後に読んだので、地理的条件を理解できたが、本書では地図無しなのが残念。
アフガンとパキスタン国境周辺で、アフガン人口の約半分・パキスタン人口の約1/6を占めるパシュトゥーン人が実効支配する、部族支配地域トライバルゾーン や、世界のケシ栽培の9割を占めるケシ王国の中でも、栽培が最も盛んなヘルマンド州等、住民が連合軍・国軍・様々な反政府勢力との戦闘によって最も大きな被害を受け、最も援助が必要ながらその危険さに伴っていない南部地域の説明を、地図で詳細な地域状況も説明出来たと思われる。
武装解除でタリバンを制圧した北部同盟を解散させたにもかかわらず、そこに国軍でなく再びタリバンが舞い戻り、パキスタンとタリバンの協力や核問題もあって、米・NATO共に引くに引けないが、その原因を作った米が期限付きで「一抜けた」を宣言する今日迄の動き、アフガンによる自治と戦争終結へのロードマップである円卓会議について書かれている。
ミッションは動き出したばかりで、カルザイ大統領がタリバンなど敵対組織との対話を活発化させている。
だが、後ろ盾の米国が武装勢力との交渉に懐疑的な上、アフガンでの影響力拡大を狙うパキスタンの協力も得難く、タリバンも、2月に最高幹部の一人が拘束されて以降、指導体制に変化が生じており前途多難だ。
「美しき誤解」に基づき非武装自衛隊による、国境をまたいだ地域に設けるという「支え合う安全保障(SS)ゾーン」との抗争停止地域での軍事監視任務も、著者の思惑通りに行くだろうかと懐疑の念が湧く箇所もある。
ただ、著者は一介の大学教授であり、外務省が手をこまねいているからこそ行動しているわけで、それは賞賛されねばならない。
いずれにしても第3次大戦がこの地域から起こりうる危険性を、世界が協力して沈静化せねばならず、それを外務省と米英が邪魔しない事を祈るばかりだ。