今回のリマスターは素晴らしいですね。アナログの良さを充分引き出して高音質に仕上げたエンジニアの方々へ感謝です。後期のビートルズのアルバムは何百回聴いただろうか?数えきれない回数であることに違いない・・・。(笑) 今さら4人の音楽的な才能に言うまでも無くただ聴き入るだけですね。中でもリンゴのオーケストラの打楽器奏者の様な、ボーカルを食わないベースやギターを食わない、それでいて間の取り方や曲の流れの中で奏でるドラミングは、音の良さ、重厚感、表現力がそれぞれの曲に上手く溶け込みまるでバックコーラスの様に心地良さが残る。ハイハット、タムタム、フロアタムそしてバスドラのアプローチがリンゴ独特であり、他のドラマーとの違いは明確です。たとえば、1曲目の「カム・トゥゲザー」で言うとハイハット〜タムタム、フロアタムに流れて行くあたりのアプローチがセンスの良さや音楽的な奥行きや幅の広がりにリンゴのドラミングは絶大に大きいと思える。どの楽曲に対しても曲のイメージを損なわない配慮があり、センスの良さはこのアルバムに見事に調和している。ビートルズとは、天才ポール、天才ジョン、秀才ジョージ、そしてこの人たちにとって最高のドラマーがリンゴだったと考えられ4人が揃ってビートルズが成立する。「ホワイトアルバム」では、ポールがドラムを叩いている曲が数曲あるが、リンゴの打感には遠く及ばない。ビートルズのカバー曲は沢山あるが、原曲を凌駕するものは実在しないし、実際、その存在感は大きい。
恐らく、この頃のメンバー間での人間関係はズタズタで音楽性の違いや方向性が違っていた様で、解散後のソロアルバムを聴けば明確だ。ただ、ビートルズとしての最終章がこのアルバムでもあるからこそ、4人の音楽的な感性としての表現力は鳥肌ものかもしれない。
それぞれ後期のビートルズを聴く時にドラムを中心にして再度聴いてみて下さい。ボーカル、ギター、ベースが見事にまでドラムと共演しています。そして、4人がそれぞれにいい味出してますね。素晴らしい!!
余談になるが、解散後にポールはロックの3大ドラマーとしてリンゴ・スター、ジョン・ボーナム、キース・ムーンと答えている。ジョンは自身の傑作アルバム、「ジョンの魂」にリンゴを起用しているし、ジョージは元々リンゴを高く評価していた。キース・ムーンがリンゴを尊敬していたのは有名な話である。また、ローリング・ストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツはビートルズのファンじゃないけど、リンゴのファンだと答えている。派手なパフォーマンスこそ無いが、センスの良さと音にこだわるドラマーは他に見当たらない。