アニメ監督の押井守がアバターの感想で「自分のやりたかったことをやられちゃった。完敗。」と言ってました。
そのやりたかったこととは、実現しなかった大作「GRM」です。
そのGRMのテーマのひとつが「新たな身体」でした。
アニメの身体でも、現実の役者の身体でもない「第三の身体」、
現実の役者に演じさせながら、なおかつ役者個人の持つパーソナリティに束縛されない身体、
鑑賞者自身の身体と同じ尊厳を感じられるアニメ的身体、
押井さんはそれを甲冑で克服しようとしましたが、キャメロンは異星人に見い出しました。
CGの生身というだけでも困難なのに、さらにふつうは自然と拒否反応の出る「青色の生身」にあえて挑みました。
その上で、実写の生身の人間と同じように感情移入することのできるクオリティにキャメロンは仕上げました。
あの民族だけが登場するシーン、あれはよく考えれば「100%、アニメ」です。
でも鑑賞者にそんなこと気づかせないほど、CG技術的にも演出的にも高いクオリティを実現しました。
鑑賞者はいつの間にか生身の役者以上に「青いアニメキャラ」の方に生命力や現実感を感じるようになります。
その仕掛けとしての「アバター」という巧妙な設定。
完敗宣言が出るのも無理はありません。
押井さん悔しかったろうな〜。