現在、国内のテレビアニメはほぼ100%デジタル化されており、そのほぼ9割のシェアを占めると言われるPCソフトRETAS シリーズの最新バージョン「RETAS STUDIO」ベースで書かれた「アニメ制作の教科書」。
「RETAS STUDIO」の「操作マニュアル」としても、アドビ社の電子マニュアルのように文字だけ画面写真なしの手順説明ではなく、逐一ダイアログの画面写真も入っていて大変親切。また「RETAS STUDIO」製品には紙のマニュアルしか付属していないので、紙マニュアルとして購入してもよいかもしれない。
「アニメ制作の教科書」としては、プロのスタジオの監修による、現場のノウハウが生かされているところ。しかも、そのスタジオが「ルパン三世 カリオストロの城」を制作したテレコム・アニメーションフィルム!
「日本のテレビアニメ業界を目指したい」という人や「「RETAS STUDIO」を使ってアニメを作りたい」には最適な本。
以下、章ごとに書いていく。
■アニメ制作工程一覧
監督、アニメーター、どんな仕事なのか、一日の仕事の時間割、必要とされる能力、どうやったらなれるのかキャリアパスまで丁寧に解説されている。声優、音響、制作の項まである。
■アニメの基礎知識
カット、タイムシート、などの基本概念から、解像度、レイヤーなどのデジタル的な知識、タップ、ライトテーブルなどのアナログ的な知識を解説。なぜ、影やハイライトに赤と青の色鉛筆を使うのか?などのコラムもある。
■作画の基礎知識
この章は完全な作画講座で、歩きの基本、走りの基本、運動曲線とは何か、加速減速、動きの停止を自然に見せる方法、つぶしと伸ばしの効果、振り向きとリアクションの効果、キャラクターを喋らせるなどなど、本格的な作画講座。作画スタジオテレコム監修ならでは。
■作品制作の工程
この章はアニメ制作の基礎知識。テーマ決め、シナリオ作成、スケジュール作成、担当決め、絵コンテ作成(絵コンテの見方も実例を交えてたっぷり15ページ)、コンテムービーの作り方、企画書の作成、レイアウト、原画、動画、中割りなどの作画工程について、色設計、透明色、カゲ指定、ハイライトなどの彩色工程について、フェアリング、露光などの撮影工程についてなど大変細かく、現場スタジオ監修ならでは。
■Stylosを使用した線画の描き方
ここは「RETAS STUDIO」作画ソフトStylosでの作画方法の説明。ライトテーブル機能の説明も。
■FIXのカットを作る
「RETAS STUDIO」を使って、最もシンプルな制作工程カメラ固定(=FIX)のカットでの、作画、タイムシート付け、動画、中割り、ペイント、アナログ動画をスキャンする方法、彩色、背景の描画、撮影までの操作方法を紹介。
■編集・音響
「RETAS STUDIO」付属のMovie Edit Proでの、動画ファイルの編集、削除、オーバーラップ、フェードインフェードアウト、ワイプ、BGM・効果音の付加、アフレコ、字幕・タイトルの付加などの紹介。
■公開
公開先としての主な動画共有サイトの紹介や、応募先としての主なインディーズコンテストへの応募先の紹介。
■プロの実践的技法
プロの実践的技法として「RETAS STUDIO」を使用したキーボードショートカット、合成カット、組み線、デッサン割り、タップ割りの方法を紹介。
■カメラワーク・エフェクト
「RETAS STUDIO」を使用したカメラワークのある撮影方法(PAN、TU、TB、SL、FOLLOW)、ピン送り、マルチプレーン、画面動)、エフェクト(透過光、放射光、レンズフレア、色パラ、クロス透過光、波ガラス)の方法などを紹介。
■業界就職案内
ゴンゾ、手塚プロ、テレコム、動画工房、日本アニメーション、虫プロダクション、ゆめ太カンパニー、亜細亜堂、イングレッサ、オーエルエム、グループタック、シンエイ動画、スタジオジブリ、豆富映画、ブレインズ・ベース、ボンズ、マッドハウスの入社試験問題と担当者からのコメントを掲載。
■アニメーター座談会
アニメーターの大塚康生(宮崎駿から全幅の信頼を置かれるルパンや未来少年コナンにも参加した大御所)を交えた「テレコムの」(ここがポイント)新人のアニメーターの座談会も収録されていて、それぞれ「アニメーターになるためにどんなことをしたか」や、大塚さんが「今のアニメーターに求めること」などが語られていて、申し分なし。