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この書を読み終えて強く感じることは今も昔も人間の感情が殆ど変わっていないということ。
ヘロドトスやトゥキュディデスのそうした歴史書が上空からの カメラで捉えた像とするならば、このアナバシスでは、 カメラは一行と労苦を共にしているわけです。 著者がその一行のリーダーであった事は、現在こうしてこの記録を 読む我々にとってはこの上もない幸運でした。
各地を通るそのたびにかけひきをし、兵士たちを食べさせ、
安全を計り、不満が爆発すればなだめた本人の書ですから、当時の同盟国、 敵対国とはどういうものなのか、当時の行軍は、モラルはどんなもの だったのかが、淡々とした事実の記録を通して赤裸々に語られます。
一兵士の記録であったら、ここまで「なぜ」はわからなかったでしょう。 なぜそっちを通るのか、どうやって食物を調達したのか、
なぜその民族が追ってくるのか、など、読者は読みながら その全てを一緒に体験していくことになります。
星4つとしたのは読者を選ぶためです。 古代ギリシアについてある程度知っていないと、あまり 意義がわからず冗漫に感じるかもしれません。 間違いなく古代ギリシアの入門書ではありませんが、 主な歴史書を読んだ後、戦争の現場を知るために
ぜひ読まれることをお勧めします。
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