以前読んだ「アドルフ・ヒトラー 権力編」が良かったのでこちらも買った。この戦略編については、軍の中枢にいたヒトラー及びナチスドイツが実施した軍事作戦の記述が中心である。主要な作戦とその背景及び戦況の推移。ヒトラーと軍首脳部の対立。三度司令官に任命されて三度罷免されたルントシュテット、名将マインシュタイン、ドイツ機甲戦術の生みの親グーデリアン、砂漠の狐ロンメル、Uボート部隊の中心デーニッツといった司令官たち。さらには、チャーチル、ルーズベルト、スターリン、ムッソリーニ、ドゴールといった各国の指導者達についてもページが割かれている。
西部戦線、東部戦線、アフリカ戦線。ヒトラーを中心にした解説になっているので、全体の流れやポイントが理解しやすい。フランス電撃戦でのダンケルクの失敗についてはよく言われることだが、当時のヒトラーはイギリスとの和平の可能性に希望を持っていたため英軍に痛打を加えることを躊躇したのではないかという推測も行われている。唐突に思われるソ連への侵攻についても、この独裁者の目線からみればそれなりの布石はあったようだ。各国のレジスタンス活動、暗号解読などの諜報活動、精強なドイツ軍誕生の背景、なぜドイツで機甲戦術が受け入れられフランスやイギリスでは支持を集めなかったのかについて説明している部分もある。
巻末の「第二次世界大戦に見る攻撃と防御の理論」は、空戦、戦車戦、上陸戦、歩兵戦術などについて書かれている。簡便な印刷ではあるが、さらに「THE EUROPEAN WAR」という小冊子が付録に付いているのが嬉しい。