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いく姿が描かれていて、非常に悲しくも興味深いストーリーだと感じました。
残りの二人のアドルフは、日本とドイツの混血であるアドルフ・カウフマンと、ユダヤ人のアドルフ・カミルです。舞台は1936年のベルリン・オリンピックからドイツと日本の敗戦までがメインですが、エンディングは現在のパレスチナ問題まで引き伸ばされます。私は、この最後の2章が物語に大変な奥行きを与えていると思います。二流民族である日本人の血も受け継いでいる屈折した性格のカウフマンと違って、ユダヤ人のカミルはここまではいわば「正義」の側にいます。ところが30年後のパレスチナでは、彼はアラブ人たちの恐れるイスラエル軍の中尉です。アラブ人のひとりはナチスの残党となっているカウフマンに言います。「皮肉なもんだなあ ナチスの残虐に追われていたユダヤ人が今じゃナチス以上に残虐行為を繰り返し・・・君のようなナチスだった男がパレスチナ解放のためにわれわれと共に戦ってくれるなんて」。以下、まるで私たちが安易に「正義」や「平和」という言葉を口にするのを戒めるかのような、大変重い台詞が並びます。ーーソレデモ飽きるほど「正義」や「平和」について語れ、というのが手塚治虫の主張なのだと思います。
解説は作家の関川夏央氏。
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