本書の目的は「見せる事」だと言う。何を見せると言うのか?「人類が忘れ失った知識の本質」である。僕自身、三度読んでいまだそれを「見た」とは言えない。だが、徐々に、何を見せたいのかが分かるようになってきた。
原住民に混じって暮らした人々の証言は「心の力」に威力を発揮させる原始的な方法が存在する事を確信させるし、シュワレールやプロンジエオンといった優れた学者の説を知る事は文明についての捉え方の見直しにつながる。宇宙と「この私」との関わりについては、機械化以前に知られていた事の方が遥かに精度が高いのだ。
しかし、ここでもウィルソンの楽観主義は健在であり、結局それが(読者に乗り移るから)本書に大きな読み甲斐を与えている。エジプト文明を人類の到達した最高地点と讃えながらも、現代人が「隔絶」を乗り越えて進む事を決意すれば、古代人よりも有利な地点に立つはずだと告げるのである。「忘れ去られた知識」は失われたわけではないのだ。心の力(勇気と、現象を引き起こす何らかの秘密)を使う事を決意しさえすればいいのである。
再読を誘い、それに値する、素晴らしい本だ。
僕には、リーズカルニンと言う人物が奇妙な、心地よい後味を残した。この人物は(潔癖症から)女の子と付き合えなかった為に隠者となり自作の「城」に閉じこもったのだが、それを造るのに使った何トンもの巨石をどうやって切り出し、運んだのか、今もって謎なのである。しかも彼は、ピラミッドの建築法を知っていると豪語していたという。