もう主に読まれる時期を逸していると思いつつ、自分の感想を人に読んでいただける場なのかと思って書かせていただきます。
世の中のままならないこと、不条理なことに対して、普通人は挑戦したり、泣き寝入りしたりして、あがいているうちに他の現実が頭の中を占めてきて、ごっちゃになってしまったり、流れて行ったり・・・、こういうのを受け入れるというのかわかりませんが、これが現実との付き合い方の多くのパターンだと思います。
主人公は「赦してやる」ことによって、現実を保留していますが、だんだんと不条理さを増す現実を「赦す」たびに、内圧が高まっていき、最後に最大のナンセンス(不条理な世界を作り出したのが自分自身の世界をうわついたものととらえる態度)にぶつかってとうとうぶちぎれます。
そのあとの表現がみごとで、主人公の現実に対する新しいスタンスが「受け入れて死ぬ」のでも「受け入れて生きる」のでもない、新しい挑戦とも逃避ともとれるような形をしめしていて久しぶりに価値観が宙に浮くようなふわふわした気分を味あわせてくれました。
僕はレビューを先に見てしまって本書を読んだのですが、この本を読むならそのくらいが受け入れやすくてよいかもしれません。(何も知らずに読むと中盤はだれちゃうかも)でも、現代人の現実との付き合い方を非常に面白い形で抽象化しているところがあって、現実や、自分自身を見つめる上でもよい本だと思います。一読の価値あり!