第1章は、日本における、アトピー性皮膚炎とそのステロイド治療の歴史の概観。これだけでもかなりためになる。
第2章は、著者自身が、ステロイド外用剤を使い、止めた体験談。患者がステロイドを止めるに至る経緯と、止めた後の苦悩が、追体験できる。
そして本論の第3章は、著者が行った大規模なアンケート調査の結果報告。ステロイド治療で上手くいかなかった、なんと1000人以上のアトピー性皮膚炎患者から解答を得ている。患者の生の声と実態が伝わってくる。
さらに第4章で、自身の考えるアトピー性皮膚炎への対処法を語り、「どうしていいか分からない」でいるだろう患者に、自然な対処の仕方・考え方を助言する。
現在のアトピー性皮膚炎治療は、医師によるステロイド中心の対症療法が唯一の正解とされる一方で、それに満足しない多くの患者が取り残されている状態にある。本書は、その隠された実情をあぶり出す。
何よりも素晴らしいのは、著者の文章が、平易で無駄がなく、その姿勢があくまでも、冷静で公平であること。不幸な現状を知ってしまった者の一人として、ただひたすらに改善を望み訴える、著者の真摯な思いが伝わってくる。