そこで、社会経済学、社会思想史を専門とする著者は、アダム・スミス、ケインズという2大経済学者の業績をグローバリズムという視点から問い直した。彼らの理論を「鏡」として映し出される「現代のグローバリズム問題」の実像の解明を試みる。
上巻『アダム・スミスの誤算』では、"自由主義市場経済の父"として知られるスミスを取り上げる。グローバリズムの理論家であるはずの彼が、実は貨幣経済の拡大によって地盤沈下し始めた18世紀英国の現状を憂えていたと指摘する。また下巻『ケインズの予言』では、レーガン、サッチャーらによる市場競争主義の台頭で、過去の遺物と化したはずのケインズ主義に注目。ケインズがなぜグローバリズムに反対したのかを改めて検証する。
グローバリズムの潮流をもろ手を挙げて歓迎する前に一読したい書だ。
(日経ビジネス1999/7/26号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)
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27 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
アダム・スミスの入門書として最適,
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レビュー対象商品: アダム・スミスの誤算 (PHP新書―幻想のグローバル資本主義 (078)) (新書)
本書の内容は他の方に譲るとして、ここでは違った視点からレビューします。《キーワード(習得できる言葉など)》 アダム・スミス⇔重商主義、土地⇔貨幣の役割、国富論、17〜18世紀の経済史 《対象》 大学生〜経済学に関心のある社会人。 本書の対比構造はこんな感じでしょうか↓ アダム・スミス ⇔ 重商主義 土地・労働を重視 ⇔ 貨幣を重視 (価値は一定) (価値は不安定) 徳 ⇔ 運 農業 ⇔ 外国貿易 国内を視野 ⇔ 国際的な視野 ナショナリズム ⇔ グローバリズム ※この時代は『土地⇒貨幣』重視の経済へと移行する時期だった。 ちなみにアダム・スミスは経済学者と同時に道徳学者でもあったんですね。 ですから中盤には道徳などイデオロギーの話も出て、ややこしい内容となりますが 興味が無ければ飛ばしても構わないでしょう。 数式は一切なく、17〜18世紀の経済史について習得できるので、 『経済史』のヘタクソな一般教養を受講するよりも、はるかに密度の濃い1冊といえます。
19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
アダム・スミスを読み解く,
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レビュー対象商品: アダム・スミスの誤算 (PHP新書―幻想のグローバル資本主義 (078)) (新書)
これまでアダム・スミスは自由主義の経済学を展開した経済学者として知られていた。しかし、筆者はアダム・スミスの『国富論』と『道徳情操論』を丁寧に読み解くことによってアダム・スミスが当時ヨーロッパで展開していたグローバリズムに反対し国民経済の発展を擁護する思想家であったことを明らかにしようとする。アダム・スミスの時代は国際貿易と貨幣経済が進展し、国民経済が変動する貨幣の価値によって翻弄される時代であった。スミスが価値の源泉を貨幣ではなく労働や土地に求めたのはそういった時代背景に対応してのことだったのである。貨幣という不安定なものではなく「確かなもの」に経済の根本をすえるべきだとするアダム・スミス像は非常に新鮮である。筆者はさらにスミスの道徳哲学を「確かなもの」の追求という観点から読み解くことにより「確かなもの」を追求したスミスの思想の全体像を明確にしている。グローバリズムという現代的にも通じる問題に対してスミスがどのように反論したか、それを明らかにすることで筆者は新しいスミス像を提示することに成功した。本書はグローバリズムの問題について考える上での必読書だと思う。
8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
アダム・スミス=国内経済重視派,
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レビュー対象商品: アダム・スミスの誤算 (PHP新書―幻想のグローバル資本主義 (078)) (新書)
私は「アダム・スミス=小さな政府論者・規制撤廃論者・自由貿易主義者」と思い込んでいたのだが、著者が読み解く『国富論』からは、スミスが国内経済重視派だったことがわかる。彼が生きていた時代、自由な経済活動を与えれば、資本はまず国内に集まると考えられていたからである。土地や労働よりも商業や金融が重視され、貨幣が世界中に浮遊している現在を見たら、スミスは逆に何らかの規制を敷いて、この流れを止めようとすると推測されるのである。また、スミスは『国富論』以前から道徳哲学者として名を知られていたのだが、著者も本書の多くの部分を割いて道徳について言及している。徳無き経済を批判的に捉えているのだが、これは単純な構造改革論者や経済グローバル化推進論者に一石を投じるものだろう。 規制を無くし、経済をグローバル化することが我々の幸福に結びつくかどうか、もう一度考え直す上での好著になると思う。
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