前巻のラストで示された謎めいた部分について本巻で全て明らかになる訳でもないのだが、何となく「あぁ、これでようやく終わった……」という読後感を味わう不思議な短編集である。
和葉サイドと智春サイド、2つのプロローグから始まる本巻は、和葉の登校から入学式、そして科學部に辿り着くまでの幕間(3編)と、『電撃文庫Magagine』にでも掲載されていたのだろうかという過去編の短編(3編)、そしてこれらを繋ぐ最後の短編【The Lost Files】からエピローグという構成。智春&操緒の過去に関わった人達と和葉の現在とを巧みに繋げながら和葉の過去と「謎の人格」咲華の正体に智春の“現在(未来?)”を交錯させながら、最後までとことん螺旋(ループ)する展開が秀逸なのに加えて、各短編に登場する佐伯妹や朱浬さん、六夏会長や嵩月といった面々とのほのぼのとしたエピソードに微笑ましくなる内容となっている。こうしたドキドキ展開アリのライトな雰囲気が本編第7巻の終盤以降すっかり影を潜めていただけに大変楽しい。何故か閉じ込められてはトイレ絡みのトラブルに発展するパターンが続くのはご愛敬。それよりも過去編を読んでつくづく感じたのは、当り前のことでもあるのだが智春と操緒はずっとずっと2人で居たんだな、ということ。嵩月との“契約”を智春が迎えてもなお悠然と振る舞うことができた操緒の「幼馴染みとしての強力な関係」が滲み出ている。できれば、忘れた頃でもいいから、あとがきにあった和葉のその後や他のキャラクター達の外伝が読みたい。できることなら和葉の「本心」が智春にきちんと伝わるエピソードが読みたい、というか、それがないと完全に終わったことにはならないのでは?とさえ思った“本当の”最終巻ながら“未完の”完結編でもある。