アスペルガー症候群について卒なく記載されていて参考になる。特にアスペルガー症候群の病因(解剖学や環境素因)についてはかなり詳しく記載されている。
ただし、本書は問題もある。本書はアスペルガー症候群と思われる有名人のエピソードを数多く載せているが、如何なものだろう。偉人の多くにアスペルガー症候群の方がいたのは確かだろうが、いくらなんでも多すぎ。これではまるで偉人は皆アスペルガー症候群のような印象を与えてしまうし、本当に彼らがアスペルガー症候群だったのか検証もあまりされていない。また、アスペルガー症候群の管理は専門家にとっても容易ではなく、それらの管理の苦労は一切本書では記載されていない。著者は精神科医ではあるが、おそらく児童精神科医ではないのではないだろうか。
本書でアスペルガー症候群について興味をもたれた方は杉山先生(「アスペの会」の創始者で自閉症の研究では有名な方)の「発達障害の豊かな世界」を読まれるといいだろう。アスペルガー症候群のきれいごとではない問題点がよくわかる。