帯に精神医学の大家、神田橋篠治が、推薦文を寄せているので、
精神分析によるものではないかと思ってしまいがちだが、そうではない。
本書は「アスペルガー症候群を解決志向短期療法によって解決しようとする試み」を記したものである。
こんな但し書きがついている
「このとおりやれば自動的に成功するというたぐいのものではない」
この本が誠実に書かれている証拠である。
解決志向短期療法とは、定型発達の人を正常と規定して、
アスペルガーの人の異常を正常に近づけようという療法とは全く逆である。
問題を掘り起こすのではなく、アスペルガーの人が穏やかに過ごせる状態をいつも思い出させるというカウンセリングの方法をとる。
『問題点ではなく問題が起こっていない例外』に焦点を合わせるのである。
行うのは臨床心理士。認知療法や精神分析、行動療法のどれでもない。
セラピーしながら問題の起こっていない理想的な一日について話して行くのである。
とまあ難しく説明するとそうなるが、要は「くよくよ反省してないで楽しいことやろうよ」ということなのではないか。
穏やかな状態にあるアスペルガーの人は周囲の人が自然にその態度《解決志向》を取っているのかもしれないと思うのである。
発達障害は(プラス方向に)発達するというふうに思おうということであるが、
ならば、人間は誰でも成長すると言うことと同じではないのか、当たり前であるとも、思うのである。