フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのRKO時代の作品から5作をまとめたボックス。ひたすら彼らのダンスと歌を楽しむための作品集と言えるだろう。5作の中でベストはトップ・ハット。劇中劇でのフレッドのタップ・ダンスは至芸としか言いようがなく、チーク・トゥ・チークはウディ・アレンが後に彼の作品で引用したように彼らのダンスの最高傑作だと思う。次に素晴しいのがコンチネンタル。延々15分近く続くコンチネンタルのダンス・シーンは圧巻。本ボックスの作品を観て思うのは、フレッド&ジンジャーのダンスと歌以外に映画をより楽しくするコメディ・リリーフの存在の重要性。その点、トップ・ハットとコンチネンタルは役者が揃っている。他方、スイング・タイムと艦隊を追っての2作はコメディとしての魅力に不足を感じる。でもスイング・タイムはThe way you look tonightの歌と踊り、それにこれまた歴史的なフレッドの影とのダンス・シーン(ボージャングル・オブ・ハーレム)が弱点をカヴァーする。艦隊を追ってが一番魅力薄に感じた。カッスル夫妻は実在のモダン社交ダンスの祖の伝記映画。他の4作が筋はある意味どうでもよいのに対し、これは2人のダンスと歌を散りばめながらもきちんと筋を追っていくことを求める作品。戦前のハリウッド映画の典型を観る思いがした。特筆すべき曲・ダンスはないが、彼らのRKO時代のコンビ最後の作品だという事実がちょっぴり感傷的な気分にさせる。
ところで私の記憶が正しければ、LDでは躍らん哉、気儘時代、コンビ誕生のきっかけとなった空中レビュー時代、そしてフレッド・アステア物語(彼の生涯をRKO時代までまとめたもの)がリリースされていた。これらを含めたものこそゴールデン・ボックスと呼べるのではないだろうか。この点を考慮して星4個とした。