タイを中心とした東南アジアの旅の記録をまとめたもの。いろいろな雑誌に発表したものをまとめたらしく、前半と後半の論調の違いに驚かされた。
格安航空券の仕組み、現地での水の安全性など、旅行者にとって役立つことも書かれているが、基本的には旅行記であり、各地での奇異な体験が語られている。面白かったのは車椅子・松葉杖でアジアを旅した章。普通の人なら海外旅行はあきらめて病院に行くのだが、著者は仕事もあり、捻挫して動かない足を引きずって東南アジアへ向かう。飛行機搭乗の際の特別扱い、なぜか松葉杖を売ってくれないベトナムなど、貴重な体験が語られている。
後半は一転して重い調子になる。バングラデシュのアラカン族難民、タイとカンボジアの国交におけるポル・ポト派の役割など、真剣に考えなければならない話題が続く。近年、観光地化の著しいアジアだが、ただ楽しみだけを求めては行けないのだ。実際に行くにしても、旅行記を読むにしても。