アジア貧乏旅行を書き綴ってきた著者が、自分が旅を始めた頃のアジアと現在のアジアを比べながら書いた一冊。鋭い指摘、そこはかとなく漂う哀愁に満ちており、なかなかのできばえ。
町で見かけなくなっていくアジアの不味くて安いタバコ、バンコク市内に建設された高架電車、町にあふれるようになった食べ放題の店。人々の暮らしは変わり、それとともに心も変わってしまった。日本風、欧米風になっていくアジア。かつてアジアに感じていた魅力は失われつつある。しかしながら、アジアのしたたかさが変わらない部分もある。高架電車に入り込む屋台の出前など。
このあたりの描写が実にうまい。アジアの幻想と現実がよくわかっている著者ならではの作品だと思う。