久しぶりに面白い本に出会いました。資源のないわが国は輸出依存型の経済構造をつくりあげてきたこともあり、対内直接投資はほかの国と比べて遅れています。しかしその中でも、近年に伸ばしてきているのがアジア諸国からの投資です。産油国のオイルマネーになぞらえて「アジアマネー」と命名したところが、著者の斬新な視点を表しているといえそうです。
対日投資には雇用創出効果だけでなく、内外企業の競争により経済が活性化するというメリットがあります。技術力があるのに債務超過に陥った日本企業をアジア企業が買収し、経営改革を進めている例なども本書で紹介されています。外国企業が日本企業を買収し、経営を立て直しているのは、日産・ルノーだけではありません。何かと欧米偏重に陥りがちな日本の論調に対して、今の現実を突きつけている本書には説得力があります。
一方では、事業コストが高く、参入する際の手続きが煩雑であったり、独特の取引習慣があるなど、日本に投資しにくい現実もあります。こうしたマイナス点を 改めないと、いずれ日本は活力を失い、アジアの片隅に位置する周辺国になり下がるでしょう。中国がアジアの大国になるのは否めないとしても、その中で政策 や制度次第では日本が2位になるのか、それとも3位になるのか、問われているような気がします。
本書は豊富な統計データや、数多くの事例を挙げて、さまざまな角度から分析しています。何度でも読み直したい本です。