ホテルが60軒以上も掲載されているから仕方ないのだが、なぜかマレーシアのボルネオ島のジュッセルトンというホテル写真が、全然関係ないシンガポールのグッドウッドパークホテルの紹介のところに紛れ込んでいました。
それと本文に関してはきちんとした文献で調べてないのと、ちゃんと調べずに思い込みと推測で文章を書いていて、特にサーキーズ兄弟の説明部分は事実誤認箇所が複数あり、特に売れっ子のライター兼カメラマンの邸景一氏の担当部分は多忙なせいかその傾向が強かった。具体的に言わせてもらうと、初期のシンガポール移民の大物A・サーキーズはサーキーズ兄弟とは血縁関係は無いことが、アルメニア系研究者が調査済みです。
またマニラホテルの歴史を知れば、最上階部分がマニラ大空襲の爆撃にあって大炎上しており、その部分に位置してたマッカーサースイートが全焼したのは歴史的事実なのであるから、あんなピカピカな家具が揃えてある部屋が1930年代のまま保存されている訳がないし、燃えさかる部屋から従業員が必死に運び出した一部の家具も戦後のドサクサで椅子一脚(恐れ多くも見学した際に座らせてもらいました)を残し、あとは全てどこかへ消えてしまい現在も行方不明だそうだ。
さらにグッドウッドパークが戦後に創業者メッセナ氏の遺族から、そのまま赤の他人に売却されたように書いているがこれも事実ではなく、実は彼の妻の連れ子が買い取ったのです。
でもこの本は学術的な本ではないし、執筆者達は学者や研究者ではなく歴史もホテルにあまり詳しくない旅行ライターさん達が、ホテルクーポン会社の依頼で作った企画本なので、間違っていようが中身がユルかろうが仕方ないのかもしれない。
それとレトロとコロニアルなホテルをテーマにしてるのに、ページ数稼ぎのためにテーマに関係ないホテルも第六章の一部と第七章全部で紹介されていたが、これは完全に蛇足でしょう。
しかしこの本は写真が豊富できれいだし、日経BP社のホテルシリーズは読み応えがあるのは認めるところです。
そして今まで日本ではコロニアルホテルの解説本がなかったから、内容が不完全ながらも、この本が出版された意義は大きいと思います。