アッシジの聖フランシスコって誰?という疑問を抱いたのは、こどもの頃手にしたR.ローソン(『はなのすきなうし』
はなのすきなうし (岩波の子どもの本 (11))の挿絵画家としての知られる)の『ウサギが丘』で、野ネズミ・ウィリーが「ぼくたちのお聖人さま。アッシジの聖フランシスさまだよ」と、答えたところからはじまる。
ウサギの丘 (名作文学シリーズ) その後出合った本に登場するフランシスコも動物を慈しむ聖人だった(例えばポール・ギャリコの『小さな奇蹟』
スノーグース (新潮文庫))。
そうした奇蹟物語の中の彼でなく、彼が何者で、何をしたのかを単純に知りたくて、この本J.Jヨルゲンセン『アシジの聖フランシスコ』を選んだ。フランシスコの生涯を追う形をとりながら、単純な偉人伝ではなく、時代背景や現存する史料類についての綿密な考証を重ねた上での評伝であり、フランシスコの研究書としても一読の価値がある。
また、書中にしばしば引用される『小さい花』(邦訳『アシジの聖フランシスコのちいさき花』
アシジの聖フランシスコの小さき花 (聖母文庫))は、クリスチャンでない日本人にとってやや説明不足なフランシスコ伝説についての理解を助けてくれるので、両者を同時に読まれることをオススメしたい。