素晴らしいコメディであると同時に素晴らしいヒューマンドラマでもあります。DVD を買って見るだけの価値は充分にある作品です。つまり「何回も見たくなる」と言う事です。とにかくまずはさておき・笑えます!!大いに笑えます!!特に、会社の人間関係でストレスをため込んだり、おまけに苛めなんかにあってる人には特にお薦めです。「自分なんてまだましじゃん」と思えてきて肩の荷が少し軽くなり明日からは笑顔で出社しちゃうかもしれません。しかし、このドラマの笑いはけっしてその場しのぎの刹那的で享楽的なものではなく、異なる立場に置かれている人々の間に横たわる誤解や感情のもつれを乗り越え、理解しあう心や思いやりの心を想起させるヒューマンな笑いなのです。常に異なる二者の関係を軸に物語は進んでいきます。マンハッタンとクィーンズ、金持ちと貧乏人、クールなセンスとダサイいセンス、兄と弟および姉と妹、ゲイと一般人、e.t.c....どちらか片方に偏る事なく異なる立場の意見や状況を平等に見せられて、私たち視聴者は常に視野が広い状態でドラマ全体を見渡しながら、いつの間にか誤解や偏見や思い込みを乗り越え、互いを思いやる心を胸に抱こうとしている自分にふと気がつくのです。そして最後には温かい気持ちで大いに泣けたりもするのです。とにかくとても素晴らしい脚本です。
また私は個人的には美術セットにとても感心しています。このドラマのセットは細部にいたるまで本当に凝っていてどの場面にも深い愛情が溢れています。例えばベティの隣人のジーナ・ギャンバロの部屋にはイタリア系ということをあらわす為にローマ創成の神話にでてくる狼に育てられた双子の赤ちゃんのお土産風の置き物がさりげに置いてあったりして笑ってしまいますし、またミード出版社長室には世界の古美術品が美術館さながらにレイアウトされておりビルマ・マンダレイ様式のブッダ立像はうっとりするほど美しい。またモード編集部のクールなミニマムインテリアに対してクィーンズのスワレス家のキッチュな南米宗教グッズに彩られた垢抜けないけど雑多で温かいインテリアの対比は見事としか言いようがありません。本当にどのセットを見ても細かいところにまで神経が行き渡っています。こんなにセットに凝っているドラマは今まで見たことなかったので驚いています。セットを一例にとりましたが、つまりこのドラマは、それ以外のどの場面にも作り手の愛情が画面全体に込められ溢れているのです。お金がすべての商業ベースの世界のなかで、本当に売れるものはまがい物ではなく、結局のところ額に汗して一生懸命に最高の心を込めて物作りをしている人達がつくるものなんだな...私たちも現実のなかで生きることに最高の心を込めよう!そう思えてきます。そして、多少苛められたって追いつめられたってくじけない!主人公のベティのように最後まで頑張ろう!そう思うのです。このドラマを見て大いに笑って泣いた後は、あなたもきっと元気になっているはず!「アグリーベティ」は超お薦めです!