ミュージカルの地平に新たなジャンルを拓いた、と言えば大げさかも知れないが、
完成度はさておきそんな表現をしてもいいほど野心的で実験的な作品だ。
ポール顔の主人公ジュードのポール声でいきなりはじまる「girl」にしびれる。
後は、各シーンに紛れ込むように違和感なく歌われるビートルズ・ナンバー。
「アクロス・ザ・ユニバース」のタイトルどおり、「アビー・ロード」や「ザ・ビートルズ」
(通称ホワイト・アルバム)など中期以降の曲が次々と登場する。
カイト氏のパフォーマンスシーンでは懐かしいタッチのアートが登場するし、
ビートルズ最後の演奏となったアップルビル屋上での「ゲット・バック」の演奏模様が
ストロベリービルでの「ドント・レット・ミー・ダウン」に置き換えて再現され
「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」に続くシーンで、映画「イチゴ白書」の終盤を再現、
その他にも60年代を青春時代として過ごした人々にとっては「オッ」と思わせるシーンがいっぱい。
主人公がリバプール出身で、コテコテのリバプール訛りをしゃべるなどいろいろ気遣いはしてくれているが、
かんじんのストーリーが弱く、音楽に消されてしまっている。
まあ、そうは言ってもミュージカル、それもこれだけの曲が並べば仕方ないかも。
一度はルーシーと別れるジュードだが、ラストはハッピーエンディング、
締めはお待ちかねの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイヤモンド」。
めでたし、めでたし。