このBOX盤は、初DVD化1作品を、既発の3作品と組合わせるという、率直にいって、ユーザーにとっては理解し難い編成を取っている。既発の3作品は、いずれも2000年から販売されてきた有名なものばかりであり、7年も経っていれば、ミステリ・ファンの多くは、既にその全部又は一部を所有しているはずで、そんなユーザーが、初DVD化作品をどうしても観たいと思ったら、このBOX盤を買うしか選択肢がないというこの販売方法は、ユーザーの利益を全く考えていないといわれてもしょうがないだろう。
おそらく、初出作の単売だけでは商売にならないと考え、有名な既発の3作品とのセットにしたのだろうが、近年、続々と市場に出ているアガサの初DVD化作品の全てが、ユーザーが買いやすい方法で販売されてきているだけに(多くのユーザーのひんしゅくを買った「名探偵ポワロ」の新BOX盤でさえも、単売を併用していた)、このBOX盤の販売元には、声を大にして、苦言を呈したい。
さて、唯一の初DVD化作品「エンドレスナイト」は、1974年に始まるEMIの娯楽ミステリ4部作(「オリエント急行殺人事件」と既発の3作品)に先立つ1972年に公開された映画である。原作の「終りなき夜に生れつく」は、アガサお気に入りのロマンティック・ミステリの名作であり、原作の良さをそのまま映像化できれば、面白い映画になるはずと思い、観るのを楽しみにしていた。既発の3作品と比べるとキャストは小粒だが、原作の枝葉を削ぎ落としてそつなくまとめており、終盤の盛り上がりと、強烈なインパクトのあるラストは、素晴らしい。
スペースの関係で、既発の3作品についての詳細は省略するが、このBOX盤の評価自体は、純粋に4作品全体の作品評価のみで行った。既発3作品の詳細な個別評価は、各単売DVDの方にレビューを投稿しているので、関心のある方は、そちらの方をご覧いただきたい。