登録情報
|
コーエン兄弟がオスカー脚本賞を獲得した「ファーゴ」が、「登場人物を明確に描くための体系的映像」をどのように用いているかについて記した箇所(154頁以降)はなかなか唸らせます。二人組の犯人が凍った雪道の中で凍える様子と、捜査するマージが温かい家庭に包まれている様子を対比させることで、主人公がこの世を肯定的に捉えていることを脚本家は示そうとしたと著者は考えるのです。
このように映画(の脚本)には、観る者の深層心理にするりと入り込む仕掛けがいくつも散りばめられている場合があり、そしてその散りばめ方が見事であればあるほど観る者の心を深くつかみとることができるのです。
そしてまた著者は、脚本家が目指すべきは登場人物たちが成長する物語であると強く信じて次のように記します。
「人間は成長しなければ人生の勢いは衰え、時には止まってしまう。変化がなければ、人間は同じパターンを繰り返すだけで、人生の旅は止まってしまう。(中略)人間の変化とはより人間味のある、自分らしい人間へと変わっていく動きであり、前向きなものだ」。(184頁)
人間を信じる力強さをそこに感じます。映画というものが優れた表現手段であり続けるのは、まさにこうした脚本家たちの信念が背景にあるからなのだという意を強くしました。
なお、巻末に掲げられた映画作品名に先に目を通すことをお薦めしておきます。これは本書で言及されている作品のリストですが、本書はその結末にまで触れてしまっている場合がほとんどだということを忠告しておきます。
|
この商品のクチコミ一覧
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|