私は整形外科的持病のため、両手に杖無しでは、歩行はおろか、立つ事すら困難だ。
そんな私にとって、自転車やバイクは「足」であり、本書中の言葉を借りれば、自由の翼に相当する。
そのため、複数の自転車やバイクを所持し、必要なリハビリ的トレーニングに精を出しているが、それが、そのまま、趣味でもある。
第一話で取り上げられる、ブリジストン・サブナードスポーツは、象徴的な意味を持つ。
この自転車は、私も所有しているが、前かご、泥除け、チェーンカバー、外装7段、ハブダイナモ、という装備ながら、車重約15キロと、かなり軽い。
つまり、ママチャリの利便性そのままに、スポーツ性をも兼ね備え、フレーム剛性も高い、優れた名車だと言える。
少々の欠点もあるが、これを取り上げる、著者の見識を、高く評価したい。
また、第三話では、折りたたみ式自転車が、折りたたまれた時の、非コンパクト性を話題にしている。
折りたたみ式自転車は、輪行すら大変で、さらに、車のトランクにすら、入りにくい。
ただ、この物語は、歴史的ウンチクに終始した感が、無きにしもあらずだ。
最終話は、8時間耐久レースの、本質を突いている。
自転車走行に必要なのは、瞬発的な脚力ばかりではなく、上半身の力、および、全身の持久力だ。
これらの事を、素晴らしい物語性と、魅力ある、自転車レースの絵とともに、示してくれた。
著者は、自転車と、自転車に乗るための資質について、知り尽くしている。
自転車とバイクが、人生の大きなパートナーである私にとって、深く共感出来る点は多い。