いま手元に本書がないので記憶で書く。記憶で書いているので、あるいは細部に記憶違いもあるかもしれないが、ご容赦いただきたい。なお、私自身はラテン語専攻ではなく、以下は、あくまでも、素人の感想である。
大学(早稲田大学)で学生として学んでいたころ、図書館にこもって、本書を手掛かりに、ラテン語・英語対訳のLoeb古典叢書(ローブ・クラシカル・ライブラリー。ハーバード大学出版局)をテキストに使ってではなかったかと思うが、『Aeneid(アエネーイス)』を読んでいた。Loebのテキスト(上下2巻で、上はASIN: 067499583X、下はISBN-10: 0674995864。「洋書」指定で左の番号を入力すると検索できる)は左側にラテン語、右側に英語の構成で便利なのだが、原文が詩なのに散文訳で一目瞭然には対応がとりにくかった。また、(今は改訂されていて良くなっているのかもしれないが)その英語も決して読みやすくはなかったように記憶する。そこで、邦訳である本書とラテン語原文を突き合わせながら読むことにした。
私自身はラテン語は素人だし、また、他に専門があったので辞書を引き文法をきちんと確認しながら精読している余裕もなかったが、本書はLoeb叢書の英訳と違い散文訳ではなく行を変えての詩の形式で、原文と行がきちんと対応しており(行番号も付いていて一致していたのではないかと思う)、原文と突き合わせながら一目瞭然で読むことができ、随分と助かった。また、訳し方も、下手に意訳せず原文に忠実に訳してくれていて、原文の理解に随分と役だったように記憶する。訳が原文に忠実だと、文法などもある程度推測できる。
また、記憶では、本書の日本語の文で躓くとか厭な感じを抱くとか、そんなことも一度もなかった。むしろ、その訳文には、随分と親しみを感じていた。おそらく、ラテン語原文と一緒に読んでいたので、両者が調和して、そこに快い言語空間が作りだされていたように思う。本書は、原文とセットで読むことで真に生きてくるように思う。さらに言えば、本の作りも落ち着いてしっかりしており、好きだった。
私自身は今は大学を出て大学図書館を利用することもできないし、上記のLoeb古典叢書『Aeneid』上下2巻を大奮発して先日購入したことでもあるので、本書も購入して手元に置いておきたいのだが、何しろ高い。まだ購入できていないが、かつて本書を実際に使っての気持ちとしては、資金的に余裕ができれば、今後にぜひ購入したい本の一つである。