なかなか日本人にとっては縁が深いのに、よく知らない人が圧倒的多数だろうビルマ(現ミャンマー)の「建国の父」アウンサン将軍の人生を描いた評伝。
生誕から非業の死まで…。
ビルマ独立運動に身を投じ、旧日本軍の訓練と援助を受けて、ビルマ独立義勇軍を組織。
名目上のビルマ独立政権の国防相を経て、抗日運動に転じ、再度、ビルマ独立の活動へ。
そして、ビルマ独立の達成直前の暗殺…。
そんな劇的な人生を巧みに描いている。
ただ、この手の人物伝はなかなに難しいものだと思う。
独立直後のビルマから現代のミャンマーに至るまで、彼の国では、少数民族の独立運動、民主化運動と、なかなかに政治的統合に悩んでいる状況である。
この評伝からは、アウンサン将軍が暗殺によって早逝せずにいたらという著者の思い入れが伝わってくる。
アウンサン将軍が生き続け、彼の政治理念、政治的理想が実現していたら…と著者は記述する。
その思い入れをどう評価するかが難しい…史実は史実、仮定は仮定。
歴史を記述し、あるいは読むときにそうした難しい側面があるのだということを噛みしめながら読んで欲しい本である。