『萌え』に詳しい主人公が、色々あってファンタジー世界に連れて行かれ、『萌え』文化を広める仕事をさせられるお話。
設定の面白さに惹かれて購入しましたが、正直に言うと極端な設定を活かせるのか期待半分不安半分でした。
けれども、読んでみると予想を遙かに上回る面白さで不安感は見事に払拭。良い意味で度肝を抜きました。
『萌え』なんて軽視されそうな題材を扱ってますが、実際はかなり本格的なストーリーです。
異世界のみならず現実世界の他国においても、当然日本とは違った文化、文明、制度などがあり、
ましてや日本の文字・音声のマンガ・アニメが異世界で読み聴きできるはずも無い。
さらには貴族より下の身分の者は文字に触れたことすらないという有り様。
こうしたご都合主義に留まらず、極めて現実的な問題に何度もぶつかっています。
しかし、主人公も意外(?)と博識でカルチャーショックを受けながらも、理性的に問題を対処しようとしてます。
この作品はそんなリアリティに溢れた世界観が見所です。
また、ヒロインはちょっとドジなメイドに幼女っぽい童顔の皇帝です。
これには主人公も「狙いすぎ!」と言ってしまうほどテンプレ設定なのに可愛いと思えました。
そこはベテラン作家の力量を見せ付けられたというべきか……。
作者の作品はこれが初めてでしたが、文章も綿密な描写の中にテンポを崩さないストーリー展開と、とても読みやすく感服しました。
個人的に傑作だっただけに、次巻が今月末に発売されるのは嬉しい限りです。