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17 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
介護の現場を知っている人も知らない人も、ぜひ見てほしい。,
レビュー対象商品: アウェイ・フロム・ハー 君を想う <デラックス版> [DVD] (DVD)
サラ・ポーリー監督作品ですが、割と(?)地味に公開された映画。しかし内容は初監督とは思えないくらいしっかりしています。 ストーリーはシンプル。 老夫婦の妻がアルツハイマーを患い、施設に入所するものの、次第に症状が悪化してゆく・・・ そういう一歩間違えば、陳腐なただの「泣かせ」映画になるところを、 介護の現場をしっかりと捉え、そしてその家族の心情にまで踏み込んだ作品となっています。 俳優陣もみんな控え目な演技ながら、実に素晴らしい。 主人公夫婦もですが、施設の職員を演じている全てが素晴らしい。 演技に加えて、実際の介護の実情について。 実際に、 介護の現場を知っている人、 介護職に就いている人、 家族が施設に入所している人、 ・・・誰でも、どこかで、少しでも経験があるのなら、 必ずどこかに自分を重ねることができると思います。 実は私は、この映画を見初めてから、施設に入所する描写をみて、 「サラ・ポーリー、って介護の現場を知らないんじゃないか」 と思っていました。 それくらい、表面的に、「キレイ事」ばかり描いていたからです。 しかし、施設ナースの登場により、徐々に施設の実情が明らかになってきます。 そう。「施設側の都合で入所者が扱われている」実態が描いています。 日本もアメリカもそうなんです。 「入所者が第一」、なんて言いながら、実は「施設の利益優先」で運営されているのが本当。 その点もしっかり描いている点も評価したい。 物語の、主人公夫婦、とりわけ夫のとった行動が良いかどうか、それは観客に委ねられます。 それはそれでよいと思います。 「これが正解」というのはないと思います。 最後に。 音楽の使い方がうまい。 ニール・ヤングの2曲「ハーヴェスト・ムーン」そして「ヘルプレス」 妻を施設に送るときに「ハーヴェスト・ムーン」が流れます。 この曲は、ニール・ヤングのアルバム 「ハーヴェスト・ムーン」のタイトルロールなわけですが、 これより20年ほど前に、 「ハーヴェスト」という素晴らしいアルバムがあり、 「ハーヴェスト・ムーン」はいわばその続編にあたるアルバムです。 つまり、この選曲は、まさにこの夫婦2人の20年間と、 ニール・ヤングの20年間にかぶせてあるのです。 そしてエンディングには「ヘルプレス」。 これはクロスビー・スティルズ・ナッシュ&ヤング時代の「デジャ・ヴ」の曲。 これは「ハーヴェスト」よりさらに前の作品。 そう、これこそ、夫婦2人が結婚した頃の曲、 一見地味ですが、こうして舞台となっているカナダ、そして そのカナダ出身のニール・ヤングの楽曲で締めているところも好感がもてます。 出演者は高齢者ばかりですが、若い人こそ見てほしい、素晴らしい映画です。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
アルツハイマー病になる老いた妻と残された夫の苦悩を清澄なトーンで捉えた傑作,
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レビュー対象商品: アウェイ・フロム・ハー 君を想う <デラックス版> [DVD] (DVD)
アルツハイマー病が本人や家族につきつける厳しい現実を描いた映画は、邦画でも「明日への記憶」等があるが、本作ではそれが老夫婦の苦悩として描かれる。妻が病を受け入れる現実と達観、その妻が自分のことを忘れても施設に通い、過去の罪滅ぼしのように妻を見守り続ける夫の姿が堪らなく切ない。施設に行く前に抱いてくれと哀願する妻、その妻の施設での老いらくの恋といった患者の愛と性の問題からも目をそらさず、配偶者を施設に預けたままにしなければならない夫ともう1組の夫婦の妻の孤独も的確に描く。しかし、雪の大地をバックにした映像はとても清澄だ。とても29歳の監督の第一作とは思えない。日当たりのよい施設の廊下が数回登場するが、その印象的な描き分け方を見るだけで監督の映像感覚の鋭さがわかる。 使用する音楽のセンスも良い。ジョナサン・ゴールドスミス担当の主張しすぎない音楽はもちろん、カナダが舞台なのでニール・ヤングの曲が巧みに使われる。 そして何と言っても主演女優のジュリー・クリスティ。年齢にふさわしい適役を得たことを嬉しく思う。
7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
あなたには忘れてもらいたい秘密のこと,
By かなり悪いオヤジ (銀河系) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: アウェイ・フロム・ハー 君を想う <デラックス版> [DVD] (DVD)
最近はイザベル・コイシェ作品でよく使われている左翼系カナダ人女優サラ・ポーリーの長編初監督作品。カナダ・オンタリオ州の人里離れたコテージに暮らす元大学教授グラント(ゴードン・ビンセント)と美しき妻フィオーナ(ジュリー・クリスティ)。アルツハイマーの症状が出はじめたフィオーナは自らケアハウスに入居することを決意する。1ヶ月後、フィオーナの見舞いにやってきたグラントは、そこで見知らぬ男と仲睦まじく会話をしている妻の姿を発見し呆然とするのだが・・・。直近の記憶から失われていくといわれるアルツハイマーという病気は、裏返せば古い記憶がいつまでも消えないで残っているということ。このグラントという男、現役教授時代はやたらめったらと女子大生に手をつけてフィオーナを精神的に苦しめたA級戦犯。なので、他の男に優しくふるまい夫である自分を忘れていく妻の姿を見て、「私を罰している」などとつい思ってしまう。夫の浮気というのはどこの国でも共通の妻への最大の侮辱であり、男にとっては「あなたには忘れてもらいたい秘密のこと」なのだ。 発症した後でもフィオーナが夫の浮気で悩んだことを夫にグチったりするもんだから、観客も「本当はボケてないんじゃないか」などと勝手に想像してしまうのだが、アルツハイマーはれっきとした病気であり、映画の中でも確実にフィオーナの体を蝕んでいく。見ず知らずの男オーブリーが経済的事情で自宅に戻ったことがきっかけでいよいよ病状が悪化する妻の姿を見かねて、元大学教授はこの後とんでもない行動にでる。 <妻への優しさにあふれた夫の自己犠牲>とも<男の身勝手な自己満足>とも見れるこの元大学教授の奇行をどう受け取るかによって、この映画への評価は決まるのかもしれない。「受け入れるか」それとも「怒り出す」のか。女性の観客にとって、まさに病気ともいえる男の浮気に対する許容度を計れる1本でもあるのだ。記憶が失われるにつれ、夫への想いも微妙に揺れ動く難しい役柄をこなしたジュリー・クリスティは、本作品でゴールデン・グローブ主演女優賞に輝いている。
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