‘82年発表。大滝詠一とか角松敏生など洋楽に傾倒したアーティストを昔から好んで聞いていた僕の中では当時から気になっていたアルバムだが,どういうわけか縁遠くこれまで入手出来ずにいた。
四半世紀も経つと多少は古ぼけて聞こえるのでは・・・と思ったが,抜けるような青空のジャケットと同様に今聞いても瑞々しいサウンドが随所に散りばめられている。
何よりも印象に残ったのが冒頭を飾るタイトル曲「Awakening(覚醒)」での透明感のあるピアノ・ソロ。美しくも切ないクリスタルな響きは松居慶子のピアノにも似て胸に染みる。2曲目以後は真夏のビーチでまどろんでいるかのようにゆったりとしたグルーヴが続き,「もう少しアップテンポでも・・・」と思うところもあるが,Wendy Matthewsをヴォーカルに起用したことが功を奏しており,キュートで適度にソウルフルな彼女の歌声が爽やかな躍動感を与え,バランスが取れている。ブラコン感覚のメロウな「Only Love Affair」,オリエンタル調の「It Isn’t Easy」などがその好例だが,秀逸は「Blue And Moody Music(Wendy’s Version)」だろう。爽やかな躍動感にあふれたメロウでスムースなアップテンポ。佐藤博自身が歌うオリジナル・バージョンよりも数段良い。本場のAOR/ブラコンでもこんな良い曲にはそうそうお目にかかれない。
全曲をほとんど佐藤博本人1人で手がけた「手作り」のアルバムながら,限りなく本場のAOR/フュージョン/ブラコンに近いサウンドを再現しているのも素晴らしい。