リチャード・マシスン小説の3度目の映画化。「地球最後の男」 (1964)、「 地球最後の男 オメガマン」 (1971) そして今回の「アイ・アム・レジェンド」となる。
誰一人居なくなった、ニューヨークの街での描写は、「ゾンビ」「ドーン・オブ・ザ・デッド」におけるショッピングモールのシーンを彷彿させ刹那的であるが、観客にとっては楽しい。
とてつもない孤独感の中で、愛犬サムとのネヴィルのギリギリの精神状態を様々な手法で描く点は面白い。
観客は大きな説明もなく、突如この廃墟と化した摩天楼に放り出される。
カメラワークと共に、この情景は最大の魅力。
静かなシーンが続く中、序盤以降、音量により驚かせるとゆう古典的な手法を使っている。音質はそれ以上でもそれ以下でもない。
オリジナル版は既に拝見していたので、今回は別エンディング版を見た。
こちらの方が、俄然辻褄が合う。彼らダーク・シーカーの由来や特徴の設定が不明瞭。なにゆえ襲うのか。ネヴィルの使った罠を模倣するところを見ると、知能はある様だ。
だからこそ、その行動の意とするところが分からなかったもだが、こちらのバージョンでは、なるほど納得がいく。
ただ、辻褄はあったものの今度は「レジェンド=伝説」の意味が薄らぐ。
どちらのバージョンにおいても、上手くまとめられていないのだ。
脚本はエンディングを書くのが一番難しいものだ。
結局、魅力的な設定が散りばめられてはいるが、雰囲気も、ドラマも、映像面も上手く纏められていない。それぞれの方向性が定まっていない。
折角の極限の心理状態の熱演も、結果として生かされていない。
愛犬サムとの物語も良いし、マネキンに話しかけるシーン、ハンドカメラ風の荒い映像、ナイト・シーカーの別の側面など、良い要素がありながら、勿体ないことになっている。
そうなると、Blu-rayで見るべきものは、映像面・画質面。
やはり、この手の映画では上空から見る高層ビル群やブルックリン橋など、もっとシャープに鋭く見せて欲しいのだ。
劇場とホームシアターとではそもそも媒体が違う。これは演出だからと逃げて欲しくない。
この様な作品に柔らかいフォーカスは不要。意図的なものだと言うのだあれば、センスがない。冷たさと孤独・悲壮感を表す、鋭利なキリっと締まった高解像の画が欲しいのだ。
ただただ、しっかりとした「商 品」を提供して戴きたい。
このメーカーのタイトルは長いこと見てきたが、この作品は最新の話題作なのだ。
確かに今までよりは良い、との感はある。しかし基本的に、これ以上のものなど提供しないですよというのが、この社の決定であり表明のようである。
それならそれでよいでしょう。それであれば以前のDVD時代のハリウッド・プライスの様に薄利多売でいきましょう。
ちなみに、基本的販売価格は ディズニー・20世紀FOX=4,935円、ワーナー=4,980円 である。