古典SFに分類される、R・マシスンの名作『地球最後の男』。
映画史では、何度も映像化されてきた本作は、人類と個人、孤独と希望を
盛り込んだ、象徴的かつ、人類がゾンビ化する物語の草分けでもあります。
生き残ったネヴィル博士と愛犬サムだけしかいない、荒廃したNYの光景。
この風景描写やディテールの完成度は、もはや驚愕としたいいようがないほど、
よくできていてこの作品の一番の見所。
全編のはじめのほう、約4分の3ほどまでは、主人公ネヴィル
こと、ウイル・スミスと犬だけの登場ですが、回想シーンと、緊迫感たっぷり
のカメラワークとカット、驚異の風景で飽きさせません。
ネヴィルの高まっていく孤独感がよく描かれていて、愛犬の死をきっかけに
彼の孤独と自暴自棄はピークに達します。彼がやぶれかぶれでいどんだ
その果てには・・・・。ちょっと意外な転結ではありますけど、物語の
広がりは観客を飽きさせませんし、悲しい結末と、希望のあるラストを提示
し、見るものの心を浄化させる、うまい構成になっています。
最初想像していたより、感染した元人間たちの登場と描写は、ゾンビっぽく
なく、登場シーンも、そんなに多くありません。逆に、ウイルスミスに
焦点をあてっぱなしで、そのせいか、話には締まりが出て、成功だったような
気がします。
全体的には、期待以上のできばえで大満足です。
ただ、元人間だった群衆が大挙して押し寄せるシーンなどは、
以前『ロード・オブ・リング』3部作や、『ハムナプトラ』などで見た
既視感があり、描写もいかにもCGって感じで、これは仕方ないのですが、
ちょっと薄っぺらいし、ちょっと食傷ぎみな感じがあるのは
残念でした。
また、全編約100分と、ちょっと短い。長ければいいものでもないけれど、
もう少しエピソードを交えて、長くしてもよかったのではないでしょうか?
なんか、ちょっとラスト近辺は、物足りませんでした。