「奇跡の年」とは、アインシュタインが統計力学、量子論、特殊相対論の、どの一つをとってもノーベル賞に値する論文を立て続けに出版した年を指します。
アインシュタインの論文の主な物は日本語(改造社が世界で最初に石原らの訳で「アインスタイン全集」を出した)や英語に訳されていますが、これは新たに英語訳されたものからの日本語訳です。既存の訳では、
アインシュタイン選集 1、関連論文なども知りたければ、
光量子論 (1969年 物理学古典論文叢書〈第2〉)物理学古典論文叢書 4などが、手に入ります。特殊相対論だけなら、
相対性理論 (岩波文庫)があります。
この本の特徴は単なる翻訳ではなくて、それぞれの論文の前にアインシュタインの生活環境、友人関係などを含めて歴史的解説が詳しくなされています。
『「奇跡の年」100周年に寄せて』では、後半で、最初の妻ミレヴァ・マリッチとの関係について、当時、アインシュタインの妻の寄与が大きかったのではないかと言う指摘についての反論がなされています。
解説のページ数が多い事がわかるように目次とページ数を記しました。最初の論文を紹介するまでに、本書の半分にあたる150ページ以上を使っています。
序文 ロジャー・ペンローズ 5
「奇跡の年」100周年に寄せて ジョン・スタチェル 15
プリンストン大学出版局によるはしがき 103
はじめに 107
1 アインシュタインの学位論文 141
論文1 分子の大きさを求める新手法(A New Determination of Molecular Dimensions) 159
2 ブラウン運動への取り組み 187
論文2 熱の分子運動論から要請される,静止液体中に浮かぶ小さな粒子の運動について(On the Movement of Small Particles Suspended in Stationary Liquids Required by the Molecular-Kinetic Theory of Heat ) 205
3 相対性理論への取り組み 221
論文3 運動物体の電気力学(On the Electrodynamics of Moving Bodies) 251
論文4 物体の慣性は、その物体に含まれるエネルギーに依存するか(Does the Inertia of a Body Depend on Its Energy Content?) 297
4 量子仮説に関する初期の仕事 303
論文5 光の生成と変換に関する,ひとつの発見法的観点について(On a Heuristic Point of View Concerning the Production and Transformation of Light) 319
ちょっと残念なのは、収録されている写真が汚い事ですね。