私達が見ている宇宙というものは、宇宙全体からすれば5パーセント程度のものに過ぎず、残りの95パーセントは23パーセントのダークマターと72パーセントのダークエネルギーという見えない物質であり、この宇宙の大部分を占める領域を観測する事を可能にしたのが本書のタイトルでもあるアインシュタインの望遠鏡こと、相対性理論に基づく重力レンズです。本書ではこの重力レンズを通して分かってきた宇宙の姿というものについての解説がなされています。
ハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡といった光学望遠鏡を通して、私達は遥か遠方の銀河や銀河団の壮麗な姿を見る事が可能となっていますが、それを可能としたのも前述の重力レンズであって、その重力レンズは銀河団の中にも存在し、ダークエネルギーやダークマターを含んだ銀河団の質量分布や、銀河団よりもさらに遠方に存在する銀河の距離までも見出しており、宇宙の現在の姿の形成に大きく影響を及ぼしているダークエネルギー・ダークマターの存在と同様に重力レンズが私達に宇宙の大きさを理解する上で果たしている役割やこれからどのような宇宙観測が展開されていくのかについて知る事の出来る内容であり、これからの宇宙観測が私達に宇宙の姿がどのようなものであるのかを解明していく事に期待がかき立てられました。
個人的には本書でも取り上げられているエイベル1689やエイベル2218といった銀河団の壮麗な天体写真を見る事は結構好きなのですが、そういった銀河団においても重力レンズの影響が存在し、それらを観測する事を通してダークエネルギー・ダークマターの質量や銀河団そのもののサイズや形状を割り出しているという事には興味をひかれるものがありました。本書タイトルのアインシュタインの望遠鏡こと重力レンズを通して宇宙の事がさらに深く分かってきたように、未だ解明されていない宇宙の領域にてこれからどのような現象が新たに発見され、それがまたこれからの宇宙科学にどう影響を及ぼしていくのか見ていきたいと思っています。